空腹がもたらす苦痛は、実際に味わってみなければ分かるものではありません。空腹が極まったときは、ご飯粒一つでもどれだけ貴いかしれません。今も興南のことを思うだけで気持ちがさっと引き締まります。ご飯粒一つがそこまで人間の全神経を刺激できるということが信じられませんでした。おなかが空けば涙が出るほどご飯が恋しくなり、母親よりもっと恋しくなります。おなかがいっぱいのときは世界の方が大きいのですが、おなかが減ればご飯粒一つが地球よりもっと大きいのです。ご飯粒一つの価値とは、そのように驚くべきものです。~いくらつらい重労働であっても我慢できました。監獄であろうと強制労働であろうと、この程度は問題になりません。どんなに鞭が恐ろしく、環境が悲惨だとしても、心に確固たる志があれば動揺しませんでした。(平和を愛する世界人としてp112)