「少しだけ我慢しなさい。自分が何としてでも弁護士をつけてあげるから。その時までどうか死なずに耐え忍んでほしい」と必死に訴える母でした。しかし、「いくら志が良くても、おまえの命を守るほうが先だ。絶対に死んではならない」と言って泣いている母を眺める私の心は、つらく切ないものでした。心の中では、「お母さん」と言って共に抱き合い、こんこんと泣きたい気持ちでした。けれども、母親に面会させる警察の意図をよく知る私としては、そうはできなかったのです。母の言葉に私ができる返事と言えば、裂けてぶくぶくと膨れた目をしきりに瞬きさせることだけでした。(平和を愛する世界人としてp94)