妻は自分の結婚記念の指輪まで人にあげてしまうほど情け深い女性です。ぼろを着た人を見れば服を買ってあげ、おなかを空かせた人に会えばご飯を振る舞いました。家にプレゼントが届いても、開けずにそのまま人にあげてしまうこともしばしばでした。ある時、オランダを巡回している途中、ダイヤモンドの加工工場に寄る機会があり、それまで苦労をかけてきたお詫びの印に、妻にダイヤモンドの指輪を買ったことがあります。お金が少なくて大きなものは買えませんでしたが、私が見て良いと思うものを一大決心して買いました。しかし、その指輪さえ人にあげてしまいました。私が妻の指に何もないのを見て、「指輪はどこに行ったのか?」と聞くと、「どこに行くも何も、流れていきましたよ」と言うのです。(平和を愛する世界人として 208p)